実際に残っているチーズに関する記録は、それよりさらに昔のものになります。歴史の教科書に、たいてい太字で載っている『ハムラビ法典』の碑文に刻まれているのです。この記録のなかには、この頃すでに主な食物を売る市場はあったことと税金制度があったこと、さらにチ−ズ以外の発酵食品としてビールとパンがあったことも記されています。
これ以外にも、ホメロスの叙事詩『オデッセイア』には神話の時代のチーズの話、古代ローマの博学者・大プリニウスの『博物誌』の11巻には土地ごとのチーズの話などが記載されています。現在ではチーズの起源は、中央アジアから西アジア一帯にかけての騎馬民族であろうと推測されています。
『ナチュラルチーズ』は、以下の7つの種類に分けられます。
1 フレッシュ
カッテージチーズ、クリームチーズ、ブルサン、モッツァレラ、マスカルポーネなど
熟成させない作り立てのチーズのこと。フレッシュチーズは、意外にも和風の素材や調味料と相性が良いので、いろいろなアイディアで和風メニューに応用できます。
フレッシュチーズに牛乳やクリームを加えたりなめらかにしたものがクリームチーズです。 お菓子作りやデザートなど、個性でいろいろな使い方・味わい方が楽しめます。
2 白カビ
カマンベール、ヌシャテル、ブリー、ブリヤ・サヴァランなど
表面を白いカビで覆われた、牛乳を原料に作られるやわらかいチーズ。熟成タイプではありますが、期間は比較的短く、熟成が進むとクリームのように柔らかくなり、独特の味とコクが出ます。なめらかで食べやすいので、日本ではかなり人気が高いナチュラルチーズです。
3 ウォッシュ
ポン・レヴェック、ロロ、ラミ・デュ・シャンベルタン、タレッジオなど
チーズの表面を塩水やその土地の酒で洗って熟成させるもの。洗う事で、熟成に必要な湿り気を与えたり強烈な臭いをなくしたりします。外側を覆う皮はやや強い香りを持っていますが、中身はコクのあるクリーミーで食べやすいチーズです。
4 シェーヴル
サント=モール・ド・トゥーレーヌ、ヴァランセ、バラット、ロカマドゥールなど
ヤギのミルクから作るチーズで、独特のコクと風味があって、起源が古く種類も豊富。表皮には自然なカビが発生していますが、乾燥を防ぐために木炭の粉がついているものもあります。比較的食べやすいタイプのものが多く、ヨーグルトのような軽い酸味となめらかな口当たりが特徴です。
5 青カビ
ロックフォール、ゴルゴンゾーラ、スティルトン、カンボゾーラなど
広くブルーチーズと呼ばれるもののこと。「チーズの王様」と名高いロックフォールは、2000年もの歴史をもつといわれています。牛乳や羊乳でつくられます。
6 セミハード
ラクレット、ミモレット、ゴーダ、エダム、チェダーなど
固める前のチーズを細かく切って型に入れ、圧縮してやや固めの組織にしたもの。古くからある山のチーズは修道院製のチーズにはこのタイプが多くあります。ナチュラルチーズの中ではやや保存がきくタイプです。
7 ハード
コンテ、エメンタール、グリュイエール、パルミジャーノ・レジャーノなど
固める前のチーズを加熱して強く圧縮して水分を抜いて保存性を高めたもの。保存がきくので、古くから輸出用として作られてきました。チーズの中でも大きく重量の多いものが数多くあります。